- 2025/07/07
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【藤進コラム】試験前の「集中学習」とはオサラバ!「分散学習」にシフトせよ!
●期末試験終了!
中高生の皆さん、お疲れさまでした。
今週は1教科ずつ、努力した成果が数字となって手元に戻ります。
ライバルと一喜一憂しながら、
試験の前日、あれほど慌てて何時間も必死に詰め込んだのに、
試験が終わって数日経つと
自分でも驚くほど勉強した内容を忘れてしまっている(汗)
今週、皆さんにはそのような経験が起きる…と断言しておきましょう(笑)
●そんなとき
「自分はなんて頭が悪いんだ…」
「なんて記憶力がないんだろう…」
と自分を責めてしまう気持ちが出てくるかもしれません。
●でも…安心してください。それが普通なのです。
●そもそも人間の脳というのは、
覚えたものをどんどん忘れていくようにできています。
脳の「海馬」と呼ばれる場所は短期記憶のうち
どれを長期記憶として保管するのか、仕分けする働きをしています。
そして、私たちの脳へ入力される情報のほとんどが
生きていくためには直接必要のない情報であるため、忘れるようにできています。
脳科学的に見ても、何かを記憶することだけでなく、
忘却することも能動的なプロセスであることがわかっています。
●前回のコラムでご紹介した〝アクティブ・リコール〟は
いわばその記憶を実際に思い出し、使うことによって
「この情報は必要だよ!」と脳に伝え、しっかり覚えてもらう方法です。
●そのアクティブ・リコールとともに
脳に覚えてもらうために重要なことについて書きます。
それは一度にまとめて勉強するよりも
時間をあけて「繰り返し学習する」ということです。
繰り返しその情報を入力・取り出すことで、
「これは必要な情報だよ!」と脳に伝えるイメージです。
●一夜漬けのように、あるまとまった学習範囲を
間隔をあけずに一度に続けて勉強することを「集中学習」と呼びます。
一方で、時間をあけて勉強することを「分散学習」や「間隔反復」と呼びます。
そして、一度にまとめて勉強するより時間を分散して勉強する方が、
長期的な記憶の定着がよく、この効果は「分散効果」と呼ばれています。
これは同じ内容を同じ時間をかけて勉強するにしても、
分散した方が学習効果が高いということを意味します。
つまり、2時間続けてある範囲の英単語を勉強するよりも
今日は1時間、別の日に1時間…と分散した方が
時間が経ってテストしたときに、覚えている単語が多いということです。
●「分散学習」の効果を検証した研究は100年以上前から行われ、
論文も数百以上あります。
それらの研究によって「分散効果」は大人から子供まで
数学、外国語、歴史、生物学などを含めた
幅広い分野の勉強において確かめられてきています。